コンチキチン♪
この特徴的な擬音語は、太鼓、笛、鉦で構成される祇園祭のお囃子、通称・祇園囃子(ぎおんばやし)を表すもの。
祇園囃子が鳴り始めると町は一気にお祭りモードになり、夏の訪れをしみじみと感じることができます。
さて、そんな風情ある京都・烏丸に本社を構えるフィールドでは、「乙女の祇園祭」というプロジェクトを自社で運営しています。
祇園祭をモチーフとしたかわいいグッズの制作やイベントを運営するこのプロジェクトは、2012年に発足し、今では毎年たくさんのファンの方から商品のお問い合わせがくるほどにまで成長しました。
多くの人に支えられ10年以上続くこのプロジェクトですが、フィールドのホームページでしっかりと紹介されているページが現在はなく、こんなことしてるんですね!とお客様に言われることもしばしば…。
ということで、季節外れではありますが、今回の記事で紹介したいと思います!
京都にある会社だから
私たちフィールドのオフィスがある函谷鉾町(かんこぼこちょう)は、山鉾町と呼ばれる祇園祭で立てられる山鉾を維持・管理をする町のひとつ。オフィスの南側の通りに立つ函谷鉾のほか、菊水鉾町にも隣接し、ビルの西側には菊水鉾が立つとても贅沢な立地です。
特に菊水鉾はオフィスのバルコニー側にあるため、毎年祇園祭の時期になると鉾が立てられる様子や、巡行前に試しに鉾をひく行事、曳き初めをオフィスから眺めることができます。
間近で、しかも上から山鉾を見ることができる、なんて素敵な環境なのでしょう…。
日本三大祭りの1つとして有名な祇園祭ですが、祇園祭=夜店のイメージが強く、本来は1ヶ月続くお祭りであることがあまり知られていなかったり、伝統を継承する若者が不足していたり…。課題が多いことも事実です。
社会の課題をデザインで解決することが、私たちの仕事。祇園祭の空気を肌で感じられる場所で長く活動している私たちは、大好きな祇園祭に、この地域に、デザイン会社としてなにか貢献できることはないかと考えるようになりました。
京都の山鉾町にオフィスを構える私たちだからこそ、感じられるものがある。デザイン力や企画力が武器の私たちだからこそ、伝えられることがある。
そう考え、自社プロジェクト・乙女の祇園祭の発足に至りました。
乙女目線の祇園祭
多くの人に祇園祭の奥深い魅力を知ってほしいという想いでスタートしたこのプロジェクトでは、今までの祇園祭のイメージとは別角度での見方を発信し、あまり祇園祭が浸透していない層へのアプローチをすることにしました。
そこで、私たちが設定したプロジェクトのテーマは、「伝統だって、かわいくなくちゃ」。
キーワードは「かわいい」です。
祇園祭といえば「伝統行事」という、敷居の高いイメージ。本来の祇園祭の奥深さをより多くの人に知ってもらうためには、一度ハードルを下げ、まずは興味を持ってもらうということがポイントになります。そこで私たちは、「かわいい」という観点が祇園祭に興味をもってもらうきっかけになるのではないかと考え、乙女の目線で捉えた祇園祭の楽しみ方を発信することにしました。
さらにもっと多くの人に祇園祭を知ってもらうには? 楽しんでもらうには? と考えたことで、祇園祭で持ち歩くかわいいアイテムやイベントを企画・デザインするようになり、今のような形のプロジェクトへと発展していったのです。
祇園祭の魅力を伝えると同時に、京都の伝統技術の継承・発展にも貢献していきたい!とも考えていた私たち。そこで、京都の職人さんにも積極的に声をかけ、コラボ制作にも力を入れることになりました。
京都懐紙専門店の「辻徳」さんに制作していただいている懐紙や、京くみひもの「昇苑くみひも」さんに制作していただいているご朱印バンド。他にもご朱印帖や扇子、和綴じのメモ帳など、今では多くの商品が京都の職人さんとのコラボ商品となっています。
ただ職人さんに制作をお願いして終わりではなく、乙女の祇園祭の商品がどこでどのように作られているのか、どんな使い方があるのかをホームページで発信することで、京都の伝統工芸を知るきっかけづくりも積極的に行ってきました。
現在はInstagramなどのSNSでの発信をメインとし、さらに多くの人に知っていただけるような広報活動に取り組んでいます。
ぐんぐん広がる、かわいい伝統
オンラインショップや露店販売、小さなポップアップブースからはじまった商品の販売。
年々販売先を増やし、京都市内の書店や雑貨屋さんで商品を取り扱っていただいています。
さらには、京都でお馴染みのタクシー会社、ヤサカタクシーさんともコラボし、市内を走るタクシーを乙女の祇園祭仕様にデコレーション。
乗車記念に限定ステッカーの配布やプレゼント企画も行うなど、新しいことにたくさんチャレンジでき、乙女の祇園祭プロジェクトの成長を感じることができました。
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筆者のtakeshimaは去年、今年と、2度露店販売を経験したのですが、自分のデザインした商品が可愛い!と手に取られていく様子を見ると、デザイナー冥利に尽きる思いになります。本当にありがたい経験です。
お客さまの反応を直接受け取るという経験は、クライアントワークではなかなかできない自社プロジェクトの醍醐味ですね。
祇園祭にお越しの際は、ぜひ乙女の祇園祭のグッズを手に祇園祭を楽しんでみてください。
それでは、今回のジャーナルはこのあたりで。