こんにちは、杉山です。
7月に入り、祇園祭の季節になりましたね。
今年も山鉾巡行の中止が決まりましたが、鉾建てやお囃子を行う町内もあるようで楽しみです。
さて、私が担当している「乙女の祇園祭」も店頭販売に向けて大忙しの時期…。
今年は乙女の祇園祭の10周年ということもあり、ディスプレイや特典など、コロナ禍ではありますが、祇園祭を楽しみにしている皆様に少しでも祇園祭を感じてもらえたら…!と力を注いで色々と制作を行いました。
今回はそんな制作の裏側から、店舗特典のポストカードについてお話しようと思います。
あくまで一例ですが、製版データの工程も簡単にご紹介していきますので、参考にしてもらえたら嬉しいです。
(0)レトロ印刷とは…
「乙女の祇園祭」のポストカードの多くは「株式会社JAM」さんが行っている「レトロ印刷」というサービスを使って制作しています。
レトロ印刷は通常のCMYKの印刷とは違い、指定のインクの中から使用する色を決めて、その色ごとにスミ(黒)1色の濃淡で製版データを作り入稿します。
また、レトロ印刷は色と色の重なりで混色を作れるのが特徴のひとつ。制作する際にも色が混ざることを想定しながら考えていきます。
レトロ印刷はちょっとした版ズレやインクの出方の違いが起こるのですが、それが逆に温かみのあるかわいいポイントでとても好きです…!
詳しくはJAMさんで説明してくれているので、気になった方はぜひ見てみてくださいね。
(1)ラフの制作
イメージラフを描きます。
デザインは祇園祭の定番である山鉾だけではなく、お祭りの間に登場する様々なモチーフをあしらいたかったので、茅の輪モチーフの中にギュッと敷き詰めた賑やかなイラストに。
このイラストでは赤系、青系、黄系の3色を混色しよう!と思っていたので、混色して作れそうな色(下記参照)も使用してイメージを作っています。
実は乙女の祇園祭のポストカードでも混色をふんだんに使っている絵柄は少なくて…
今回は特典ということもあり、少しだけ自由に、たくさんの色数の表現に挑戦したいな〜と色とりどりな雰囲気にしました。
(2)イメージの清書
イラストを清書します。レトロ印刷は製版の際にインクの種類ごとスミ(黒)1色のデータにする必要があるので、私は清書の際から黒ベタ+濃淡だけで形を整えています。
パーツごとにレイヤーを分け、あとで色の濃度調整がしやすくしておくと楽ですよ◎
(3)インクを決める
何色のインクを使うか考えます。このときに役立つのがJAMさんが出している「3色混色色味本セット」(左)や「あそびかたろぐ」(右)!
これがあると色のイメージが掴みやすくて、いつもすごく助けてもらっています。
明るく、彩度の高い色味にしたかったので、赤系には「蛍光ピンク」を。黄系に「黄」、青系に「スカイ」に決めました。
(4)色を分ける
(1)で作ったラフを配色の参考にしながら、版分けをしていきます。
オレンジや濃い青、緑は混色になるので、「あそびかたろぐ」を見ながらピンク40%+黄色20%でこの色…という風に調整していきます。
(5)製版データをつくる
色が分けられたら、印刷用にスミ版に直していきます。
カラーの状態からグレースケールに直すだけだと、色の固有色によってスミにした際の濃度が変わってしまうので注意です。
製版データができたら、レトロ印刷さんに入稿します。
あとは仕上がりを待つだけ…!
▼そして出来上がったのがこちら
想像していた色味と大体同じような混色にすることができました!やったー!
思った通りの色味になったり、混色が甘くて狙った色味がズレたり…同じ版でもインクの選択を変えると全然違う雰囲気になるので、毎回わくわくしながら作れるのもレトロ印刷の楽しいところです。
イラストだけでなく写真でも同様にできるので、皆さんもぜひぜひチャレンジしてみてくださいね。
〈 column 〉
・どんな場所でどんな思いで作られているのか、レトロ印刷の制作現場を取材した記事はこちらから。合わせてぜひご覧ください。
・レトロ印刷で制作した乙女の祇園祭のポストカードはオンラインショップからご購入いただけます。よかったらこちらもチェックしてくださいね。